指の痛み・腫れ・変形、放置していませんか?
それはヘバーデン結節かも
指先の関節に痛みや腫れを感じていませんか。それは「ヘバーデン結節」という、手指に起こる「変形性関節症」のサインかもしれません。最初は軽い症状でも、放置すると関節の変形が進んだり、日常生活に支障が出たりすることがあります。症状の進行を防ぐためには、適切なケアや治療を始めることが大切です。まずはヘバーデン結節について知り、ご自身の症状が当てはまるかどうか確認してみませんか。
目次
こんな症状はありませんか?
以下の症状に当てはまるものはありますか?
セルフチェックリスト
- 指先の関節(第一関節)が痛む
- 指先の関節が腫れている、小さな硬いコブや水ぶくれがある
- 指先の関節が曲がっている
- 朝起きたときに指先の関節がこわばる
- 指先に力が入りにくく、容器の蓋を開けたりボタンを留めたりしにくい
- 家族に同様の症状の人がいる
※症状が似ている疾患もありますので、ご自身で判断せず医師の診断を受けることをお勧めします。
症状の参考画像
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典型的なヘバーデン結節例
両手に複数のヘバーデン結節が認められます
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典型的なミューカスシスト例
小指の第一関節に、ヘバーデン結節に伴うミューカスシスト(小さな水ぶくれ)が認められます
ヘバーデン結節の
原因と発症メカニズム
ヘバーデン結節とメノポハンド※1
更年期に差し掛かる40代から60代の女性に多く見られる手指の痛みやこわばり、変形といった不調は「メノポハンド」と呼ばれ、最近ではテレビやSNSなどでも注目されています。メノポハンドの原因の一つといわれているのがエストロゲンの減少です。そのため、メノポハンドは更年期女性に起こりやすいのですが、妊娠・出産期の女性でも起こることがあります。
メノポハンドが進行すると、手指の疾患につながる可能性が高いといわれており、代表的な疾患の一つとして「ヘバーデン結節」があげられます。その他にも指がしびれる「手根管症候群」や指を曲げ伸ばしする際にひっかかったりする「ばね指」、第二関節が変形したり痛みがでたりする「ブシャール結節」など、様々な病気があります。
※1「更年期の手」を意味する「メノポーザルハンド」を略した言葉。閉経前後の40代から60代の女性に多い手指の痛みや変形、しびれなどの症状
ヘバーデン結節の原因
ヘバーデン結節のはっきりとした原因はまだ完全に分かっていませんが、「加齢」「エストロゲンの減少」「遺伝的要因」「指先の使いすぎ」「過去の指のケガ」など、いくつかの要因が重なって起こると考えられています。
ヘバーデン結節が
悪化する理由とは
ヘバーデン結節の症状が悪くなる一番の理由は、指に負担をかけすぎることです。指をたくさん使うお仕事や、指先に強い力が加わるような動作は、関節に負担をかけて、症状を悪化させることがあります。
ヘバーデン結節を放置すると
どうなるの?
進行を防ぐには、早めの対策が大切です
ヘバーデン結節は自然に症状が改善する場合もありますが、なかなか症状が改善しない場合もあります。そのようなときは、適切なケアや治療を行う必要があります。
痛みやこわばりは、一時的に軽快することもあるためそのままにしてしまう方もいます。しかし、症状をそのままにしておくと、関節の軟骨がすり減って痛みが長引くようになったり、指先が動かしにくくなったりする場合があります。また、指先に力が入りにくくなり、「容器の蓋を開ける」「ボタンを留める」「ドアノブをひねる」「文字を書く」といったごく日常的な動作も難しくなる場合があります。
例えば、次のようなことも起こります。
A子さん(62歳)は、指のこわばりを感じることがありましたが、時折軽くなることもあったため、そのまま様子を見ていました。しかし、数年のうちに指の形が少しずつ変わり、以前より指先に力が入りにくいと感じるようになりました。そのため、料理の際に鍋を持つ動作や、洗濯物をたたむといった基本的な家事がやりにくいと感じる場面が増えていきました。
症状を放置せず、早めの相談を
ヘバーデン結節の症状を感じたら、早めに整形外科医や手外科専門医に相談することが重要です。早期診断・早期治療により、症状の進行を遅らせ、痛みを軽くし、日常生活の質を維持することができるようになります。
年齢のせいだから仕方ないとあきらめる必要はありません。指先の症状が気になるようでしたら、早めの受診を検討しましょう。
手外科専門医とは
「手外科専門医」は、整形外科や形成外科の専門医の中でも、上肢全般、特に手の疾患に関する診断・治療のエキスパートです。
日本手外科学会により定められた研修教育を受け、最新の医学を理解し、技術の研鑽を継続することを義務付けられています。
参考:日本手外科学会ホームページ(https://www.jssh.or.jp/ippan/senmon/about_senmoni.html#pict)
ヘバーデン結節の治療について
ヘバーデン結節の症状を和らげ、日常生活の質を向上させるため、症状の進み具合やその人の状態に合わせた治療が行われています。
治療は「保存療法」と「手術療法」に大きく分けられます。保存療法には、「運動療法」「テーピング」「装具療法」「薬物療法」が含まれます。これらの中から、患者さんごとに適切な治療を選択することで、症状の緩和を目指します。治療の目標は、痛みを軽くすること、関節の働きを維持・改善すること、日常生活の質を向上させることです。医師と相談しながら、生活に合った治療を選択することが大切です。
医師へ相談するときのポイント
医師への相談をスムーズに進めるため、次のことを整理しておくと良いでしょう。
症状の経過
- いつから始まったか(例:「3か月前から」「昨年の春頃から」)
- 最初に気づいた症状(痛み、腫れ、こわばりなど)
- 症状の変化(悪化・改善の傾向)
- 生活スタイル(水仕事の頻度、仕事や趣味でどの程度手を使うかなど)
現在の症状
- 痛みの程度と出るタイミング(朝・動作時・安静時など)
- 腫れや変形の有無
- 困っている具体的な動作(瓶の蓋を開ける、ボタンを留めるなど)
家族歴・既往歴
- 家族に同じような症状を持つ人がいないか
- 指のケガや病気の経験
- 現在使用している薬・サプリメント
治療に対する希望
- 優先したいこと(痛みの軽減、見た目の改善、機能の維持など)
- 避けたい治療(手術、注射、見た目の良くない装具など)
- 経済的・時間的制約(治療費の予算、通院可能な頻度など)

指の痛み・腫れ・変形などが気になったら、まずはセルフチェックを行ってみてください。
もし、複数の項目が当てはまるようなら、整形外科、特に手の疾患・障害のスペシャリストである手外科専門医を受診することをお勧めします。
「手外科専門医」がいるお近くの医療機関は、以下のリンクからご覧いただけます。
※日本手外科学会の承認を得てリンクを掲載しております
[監修]
金沢大学保健学類 作業療法学専攻 教授
金沢大学整形外科 手外科班
多田 薫 先生